これも住んでみて初めて実感できたのだが、「一条」という場所や名前、その響きには、多分にも「異時界へのつながり」というものがあり、そうした目で見ると、いかにも、と感じさせるものを垣間見る。

そもそも一条は、余程街中に行かない限り、想像するような一本道ではなく、ジグザグしながら、市内に近づくと何となく真っ直ぐになる。
かつてご紹介した通り、当初の平安京の中心はかなり西に寄っていたので、一条というのは、ジグザグただ中の辺境の道と想像され、それはいかにも物の怪に出食わしそうな環境である。

私は時に、「山越」というバス停を利用することがあり、その名から想像できるように、かなり異時界との境を感じさせる。
バス停のある交差点が「一条山越通」。一条を市内に向け進むと、仁和寺、龍安寺を通りながら、「物の怪ストリート」で知られる西陣あたりへと至る。

わいわい化け物たちが山から降りてきて、西陣あたりを冷やかしに来ていた、ということであろうか。