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東京人、京都に住まう

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2024年 06月 24日

足裏で分かる京都人

京都でうまれ、京都で育った人と、金閣寺あたりを歩いていたときのことである。目的地は分かっているので、ここは迷いなく自信ありげに進んでいくその人について行った。

ところが、ある辻までくるとふと立ち止まって、

「ところで小林さん、具体的な場所は知っているんですよね」

と言ったので、驚いてしまった。


「いや、知らないです。分かって歩いていたかとばかり思っていました」

と言うと、その人は特段慌てることもなく、

「そうですか、ま、なんとかなるでしょう」

と、再び歩き出したのに、さらに驚いた。スマホも何も確認しないで、である。

「え、そっちでいいんですか?」

私は、自分がどこにいてどっちに進んでいるかも分からなかったので、思わず聞くと、

「恐らくこっちです」

と進んでいく。

「傾斜と陽の感じから、こっちが北なので間違いありません」

なんと、本能的に自分の進む道が分かっていたのだ。


京都は碁盤の目のような道筋になっているので分かると言うかもしれないが、そこは斜めに道が交差していたりして、そう簡単ではない場所だった。

「次はこっちで…」

そうこうしているうちに、ついに目的地についた。

足裏で分かる京都人_e0150160_08040933.jpeg

帰り道、その人は言った。

「ずっと住んでいると、どこを歩くでもなく、足の負担がかかるときは北にむかっているな、夕方太陽が見えると西に向かっているな、と無意識に分かるんです」

と聞いて、痛く感心したのだった、



# by kbkceo | 2024-06-24 07:50 | 京都に住まう
2024年 05月 10日

「一条」は深い

これも住んでみて初めて実感できたのだが、「一条」という場所や名前、その響きには、多分にも「異時界へのつながり」というものがあり、そうした目で見ると、いかにも、と感じさせるものを垣間見る。

「一条」は深い_e0150160_08550957.jpg

そもそも一条は、余程街中に行かない限り、想像するような一本道ではなく、ジグザグしながら、市内に近づくと何となく真っ直ぐになる。

かつてご紹介した通り、当初の平安京の中心はかなり西に寄っていたので、一条というのは、ジグザグただ中の辺境の道と想像され、それはいかにも物の怪に出食わしそうな環境である。

「一条」は深い_e0150160_08384773.jpeg

私は時に、「山越」というバス停を利用することがあり、その名から想像できるように、かなり異時界との境を感じさせる。

バス停のある交差点が「一条山越通」。一条を市内に向け進むと、仁和寺、龍安寺を通りながら、「物の怪ストリート」で知られる西陣あたりへと至る。

「一条」は深い_e0150160_08424100.jpeg

わいわい化け物たちが山から降りてきて、西陣あたりを冷やかしに来ていた、ということであろうか。

「一条」は深い_e0150160_08405769.jpeg



# by kbkceo | 2024-05-10 08:33 | 京都に住まう
2024年 03月 20日

今、源氏物語と暮らす(源氏物語レポ1)

京都に暮らしていると、今まで教科書とか本でしか読んだことがない場所や行事が生活のそばにあって、ふいに目の当たりにするものですから、じんわり血脈がざわつきます。
特に今年は、源氏物語が大河ドラマで「光る君へ」が毎週画面に登場し、それに関連した記事がWebを賑わしているので、街を歩いて「ここが光源氏の…」とか「藤原道長の…」とか表示された看板に遭遇すると、今更ながら京にいるのだなと実感します。
今、源氏物語と暮らす(源氏物語レポ1)_e0150160_14130297.jpg
源氏物語のブームにのって、地元嵯峨嵐山文華館で「よきかな源氏物語展」が開催されています。
ご覧のように、きらきら今風なデザインが意外にもマッチして、日本美術に疎遠な若い世代にも受け入れられそうなテイストです。
相関図では、登場人物をアニメのキャラクターのようにデザインしています。もしかすると、当時の人々も、キャラを想像しながらわくわくしたかもしれませんね。
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とは言っても、東京のように混雑することはなく、ゆったりと鑑賞できます。
特別有名な超一級の作品、というわけではないけど、ほどよい作品を好きなだけ鑑賞できるのもぜいたくなひとときです。
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私もついこんなことしたりして、地元なのに観光気分です。
今、源氏物語と暮らす(源氏物語レポ1)_e0150160_14372017.jpg
美術館の外に出て、目の前に「大堰の邸候補地」との看板が。
光源氏の誘いに上京する明石の君が、都の真ん中に住まうことをためらいこの地に一時留まったときの邸宅がありました。
と言っても物語ですから、そのモデルになった邸宅があった、ということになります。
光源氏もこの館に来ていることを想像すると、都の真ん中と嵐山の位置関係や意味合いが実感として理解できて、また血がじんわりと熱くなります。
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# by kbkceo | 2024-03-20 14:52 | 京都に住まう
2023年 12月 21日

街はエーキンだらけ

「はじめから国宝、なんてないのだ」発売と、HPリニューアルを記念して、久しぶりにブログもアップ。

街を歩いていると、独特なタッチの動物たちに出会います。
三条商店街を歩いていると、そのタッチのゾウたちが。
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あまりにも独特なタッチなので、すぐ覚えてしまいました。写真にとれなかったのですが、鯉が描かれている運送車が目の前を走り去りびっくりしたことも。
あ、山科の高齢者施設のロビーにもあった!
「京都は、このタッチに支配されている?」

決定的なのは、京都市役所が接続するゼストという地下商店街。ドーン!という感じで、鯉の大群が!
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見事なので圧倒されました。
それにしても誰?ということで調べてみると「木村英輝」という作家による作品たち。
通称「エーキン」というそうで、つまりは土佐の地で、血みどろの歌舞伎看板絵などで有名な「絵金」を意識しているのですな。
街はエーキンだらけ_e0150160_06495475.jpg
青蓮院にも蓮の絵を奉納されているようで、そういえばそうでした、と思い出しました。
このような作家のスタンス、大好きです。

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はじめから国宝、なんてないのだ。  感性をひらいて日本美術を鑑賞する | 小林泰三, 新月ゆき |本 | 通販 | Amazon
よりどうぞ。


# by kbkceo | 2023-12-21 07:02 | 京都に住まう
2023年 05月 11日

「みんなで渡らないし、視線がこわい」東京人、京都に住まうvol.30



時々、京都の独特な交通ルールというか、慣習を紹介してますが、結構目立つのが、律儀に赤信号を守ること。


どんな短い横断歩道でも、どんなに車が来なくても、赤信号は渡らない。

これは、東京人にはちょい苦痛である。

「みんなで渡らないし、視線がこわい」東京人、京都に住まうvol.30_e0150160_07533544.jpeg

東京人が特別せっかちなわけではない。合理的なのだ、と思う。車が来ていないなら、時間が無駄だから渡ってしまう。それだけだ。

車が来ているのに、急いで走って渡るのと違う。


京都でそのことを目の当たりにしても、しばらくは気にしないで東京スタイルを貫いていたのだが、最近はなんか渡らなくなっている。

待っている人たちの視線を感じるからだ。

みっともない、余裕がない、などと言っているような視線を感じる。


本当は、京都の人も渡りたいけど、牽制し合って渡れない、という感じさえする。


とは言え、すっかり京都に染まっている息子に聞くと、「なんで渡る必要があるん?」と切り返されて、反論できなかった。



# by kbkceo | 2023-05-11 07:51 | 京都に住まう