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東京人、京都に住まう

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2010年 03月 16日

こんな文化貢献?

 職業柄、ときに変わった頼まれごとをされるときがあります。
 今、日本の鎧(よろい)を製作されている方から、ある依頼をお受けしています。

 それが、「絵革の型」を作るための図柄の調整です。
 って言って、「ああ、あれか!」って分かる方は… 多分いらっしゃらないと思います。


 「絵革」というのは、顔料で図柄を描いた革のこと。
 無地の革に、図柄の穴があいた金属製の型を置き、上から顔料を塗って (置いていくという感覚でしょうか) 型を取り除くと、図柄がうつされている。
 そんなふうに作られているものです。

 「絵革」は鎧の胴部分の、ゴツゴツしたところに貼り付けます。
 弓で矢を射るときに胴回りがゴツゴツしていると、弓の弦が引っかかって射にくい。なので、絵革を貼って、引っ掛かりをなくすのです。
 鎧のこのお腹あたりを「弦走り」と言うのも、そこから由来しています。


 それにしても、本来は図柄など必要ないのです。
 無地の革を貼れば、それで済む話です。
 なのにこだわるんですね~

 見てください、この細かい図柄!
 私が依頼されているのは、一つのパターンを繰り返しているので、コピー&ペーストして大きな型を作るための原画を描き起こす作業なのですが、昔の人は、コピー&ペーストなどできるはずもありません。

 ただひたすらに、ひとつひとつ描いていくのです。
 しかも必要もない図柄、擂りきれて消えてしまう図柄を…

 昔の職人のこの仕事ぶり、そして日本人の美意識と熱意には、本当に驚かされます。


 そして、ひとり黙々と、この伝統を現代に紡いでいる甲冑師にも、尊敬の念を抱きます。
 ご協力させていただくことで、ホンのわずかに文化貢献している… 
 ん~、どうでしょう…

(2枚目の写真が、絵革の切れ端。鎧に使った残りを頂戴しました)
こんな文化貢献?_e0150160_834421.jpg
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by kbkceo | 2010-03-16 08:34


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